スポンサードリンク

2016年7月30日土曜日

妊娠中の虫除け(忌避剤・ディートDEET)の安全性

(本文は下に続きます。)

スポンサードリンク
リオ五輪でのジカ熱が世界的に広まるリスクは低い、という記事を見つけました。


これ自体については特に反論もありません。
しかし、蚊の多いこの季節です。蚊の媒介する病気は多数あり(もっとも、日本に生息する蚊が媒介しないものもあります)、出来る限り不要なリスクに晒されない様、虫の多い場所に行く際には、できるだけ虫除け(忌避剤)を使用した方がいいのではないかと思います。

現在一般的に使用されている忌避剤はディート(DEET)という物質です。第二次世界大戦中に開発されたものなので、半世紀ほどの使用実績があります。
人間の皮膚の匂いをマスクする、もしくはディート自体が虫にとって嫌な香りであるため虫が寄ってこない、というシンプルな薬剤です。

私も今年の夏は子ども共々活用しています(かなり田舎に住んでいるため虫が多い)。

さて、このディート、安全性は高いと言われていますが、妊婦さんへの安全性はどうなのでしょうか。


平成22年の厚労省の検討会でディートの安全性についてのものがありました。
(ラットへの実験もあり、皮下投与ですら神経系への影響は認めなかった、というものもあります。)
これを見る限り、一般的な使用をしている範囲では安全性の高い物質であると言えると思います。

妊婦さんへの投与した研究の記載もあります。
Safety of the insect repellent N,N-diethyl-M-toluamide (DEET) in pregnancy.

アブストラクトだけですが、これが面白い研究です。
マラリア予防のため、妊娠第2期〜第3期(4か月〜9か月)に毎日ディートを使った妊婦さん897人を調べた研究です。
まず、妊婦さんの神経、消化管、皮膚への影響は認めませんでした。
胎盤を通過するか、ということについては、8%の臍帯血に検出されました。
しかし、児については、生存率、成長及び出生時と1年後の発達について異常は認められませんでした。

残念ながら初期についての研究ではありませんが、少なくとも中期以降の妊婦さんへのディートの使用は、かなり安全性が高いといえる論文です。


ユーカリ油については、蚊に対しては低濃度のディートと同レベルの効果があった、とする報告があるようです。ディートを使うことに抵抗がある方は、こちらを利用してもいいかもしれません(ユーカリ油の安全性までは調べておりません、すいません)。


厚労省の出している、安全な忌避剤の使い方についてのQ&Aへのリンクを載せておきます。こちらは一般向けですが、かなり詳しく書かれていますので、気になる方はご参照ください(妊娠中の使用についても問題ない旨の説明が書かれています)。


私個人としては、やはり効果のはっきりしており、安全性も高いディートを妊婦さんも使用することをおすすめします。
漫然と使うのではなく、必要な時に必要なだけ使う。それで十分だと思います。
夏はどうしてもアウトドアのイベントも多くなり、安定期以降の妊婦さんなどは参加する機会も多いのではないかと思います。
必要な時にさっと使い、必要なくなったらさっと洗い流す。それだけです。
どうぞご活用ください。

ちなみに私はスプレータイプを使っていましたが、私も娘もごほごほむせまして、これはいかんとウェットティッシュタイプを購入しました。
by カエレバ
ドラッグストアで売っておらずネット注文。敏感肌用をうたっていますが、これはかなりいいです。全くむせないですし、肌もぴりぴりしません。
妊娠中は肌も敏感になることもありますし、不必要に吸引するのも気分がよいものではないと思います。前述の論文で臍帯血に認められたのも、皮膚からの吸収だけではなく、スプレータイプのものを使用した際に少量吸引しているのも原因ではないかと推察します。
ウェットティッシュタイプ、おすすめです(ただし、成分表示をご確認ください。上記の物はディートですが、ディートではない商品もあります)。