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2014年4月17日木曜日

ほとんど出なくても初乳だけは飲んで欲しい!〜初乳と成乳、免疫の話〜

(本文は下に続きます。)

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初乳の話を、産褥期の話ととるか、育児の話ととるかで悩んだのですが、このサイトを見る方は出産前の方が多いだろうと考え、こちらで投稿します。

さて、妊娠中はそれなりに胸もはり、普段より随分とサイズアップしたバスト。いざ出産が近付いて、言われるままに乳首マッサージなどをしましたが……

出ない。

妊娠中でも、乳管が開通していれば透明な液体が出るとか聞いていたのですが、さっぱり出ない。
そもそも、大して前より胸も張ってる気もしない。
こんなんで、本当に母乳が出てくるの?

いざ出産してみて、翌日から早速授乳がスタート。

「あのー、おっぱい(母乳)出そうにないんですけど」
「あらー、大丈夫よー」

と、助産婦さんがタオルを持ってきて、乳房マッサージをしてくれました。正確には、乳管開通マッサージですかね。
痛い痛い。いや、指で挟んでしごくような感じなんですが、これが痛い。自分のマッサージじゃあ、全く役に立ってなかったと痛感しました。そりゃ出るものも出んわ。
そして、ぐいぐい絞られること一分ほど……

「ほら、出ましたよー」

……出た!
けど、少ない!
少ないというより、ぷくりと乳首の先に、わずかな黄色っぽい液体が染み出た程度……
え、これ、初乳? これだけ? こんなん、赤ちゃんが飲んでくれるの?
しかも、その僅かな量を、助産婦さんはささっとタオルで拭き取ってしまいました。あああ、もったいない……!



初乳と移行乳、成乳の話

初乳というのは、出産後1〜5日間(0〜3日と書いている文献もあって、正確な定義はないようですが、3日を過ぎると急激に組成は変わるようです)に分泌される乳汁をさします。決して、最初の一滴だけではないです。
それから移行乳を経て、成乳となります。

この初乳、成乳とは異なった特徴を持っています。
タンパク質や塩類が多く、タンパク質の中でもラクトアルブミンやラクトグロブリンが多く……など、細かい特徴はありますが、一番強調したいのは、「免疫グロブリンが多く含まれる」という点です。

移行抗体〜2つの免疫グロブリンの話〜

生まれてきた赤ちゃんには、赤ちゃん本人の免疫力というのがほぼありません。
あるのは、胎盤から移行したお母さんの免疫、IgGと呼ばれる免疫グロブリンの力だけです。
ここに、初乳に含まれる分泌型IgAという免疫グロブリン(これは赤ちゃんの腸管の粘膜を保護します)が加わる事で、更に様々な病気をブロックできるようになります。
生まれてすぐの赤ちゃんが病気をしにくいのは、主にこれらの免疫グロブリンの働きによるものです。
これは移行抗体と呼ばれます。ヒトの場合、一番活躍するのはIgGになります。

が、もちろんこの免疫の力は生後減少する一方です。
すると、赤ちゃんは自分の力だけで外界の脅威と戦わなくてはいけません。
しかし、病気を恐れてはいけません。病気になることで、自らの力で様々な免疫をつけていく必要があるのですから。(とはいえ、苦しんでほしくないのが親心ではありますが……)

お母さんからの移行抗体と、赤ちゃんの抗体の総量が一番少なくなるのが生後3ヶ月くらいの時期です。
このあたりで、復職したりして保育園に預けるお母さんも出てくることでしょう。
が、こういった理由でぽんぽんと熱が出ることになるだろう、と心の準備をしておくことをおすすめします。



とまあ、そんなわけで、初乳は成乳とは異なった性質を持っており、初乳には免疫グロブリンが多く含まれているわけです。
ですから、大して出ようが出まいが、是非とも産後数日の間は無理矢理でも授乳をしていただきたい! と思います。

完ミ(完全ミルク育児)を予定しているお母さんも、できれば数日だけはあげてほしい……と思います(このあたりはお産をした施設で考え方が違うと思いますので、主治医の先生や助産師さんとご相談ください)。
母乳の分泌は個人差があります。
古い研究のデータですが、産褥1日目の平均乳汁分泌は7.4mlだそうです。
一日量ですよ。
一回の授乳に分泌される乳汁は、1日8回授乳するとしたら、1mlにも満たないことになります。
まさにじわりとにじむ程度、一滴取れればよいくらい。
そう、そんなもんなんです。
焦る必要はありません。そのちょっとの初乳が赤ちゃんを守る、かもしれません。


初乳をあげなかったら赤ちゃんが病気になるの……?

もちろん中には、病気や薬の問題でお乳をあげることができないお母さんもいると思います。
初乳はあげれるに越した事はありませんが、前述したように多くの免疫グロブリンは妊娠中に胎盤を通して赤ちゃんにすでにしっかりと移行しています。
決して気に病まないでください。
唾液中に現れる分泌型IgAは、生後4週くらいに出現し、生後6週で成人レベルに達するというデータがあります。
つまり、1か月半もすれば、分泌型IgAは十分に足りるようになります。初乳でブーストあげられるのは、そこまでの期間。
ですから、自信を持ってミルクを飲ませてあげてください。大丈夫ですよ。


初乳と成乳の見た目と味の感想

ちなみに初乳、ちょっと黄色っぽく、半透明といった感じで、成乳の白濁(白色不透明)とは見た目が違います。
悪い物でも食べたのでは、とか驚かないでください。こんなもんです。
自分の初乳が大量に出れば、搾乳でもして画像をアップしたかったのですが、前述した通り、残念ながら絞れるほど出なかったので、気になる方は「初乳」で画像検索をしてみてください。結構黄色くて驚くと思います。

ついでに、なめてみました(部屋でマッサージしてたら滲んでもったいなかったので)。初乳は、少し甘いですが、ちょっと塩味が強かったです。
教科書的に塩類が多いと書かれているので、なるほどそうかもしれない、と思える味でした。
比べて、成乳をなめると、ミルキーのような味でした。
少し甘くて、確かにこれは子どもうけしそうな味。
……ママの味、って、そういう意味なんですかね。